ブラームスのヴァイオリンソナタト長調 Op.78「雨の歌」の魅力と解説

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ブラームスのヴァイオリンソナタト長調 Op.78「雨の歌」の魅力

ブラームスのヴァイオリンソナタト長調 Op.78「雨の歌」の魅力

2024/07/01

ブラームスのヴァイオリンソナタト長調 Op.78、通称雨の歌と呼ばれるこの作品は、雨天の続く憂鬱になりがちな今の季節にぜひ聴いていただきたい爽やかな曲です。この作品の魅力をより深く探っていきたいと思います。

目次

    ブラームスのヴァイオリンソナタト長調 Op.78「雨の歌」の概要

    ブラームスのヴァイオリンソナタト長調 Op.78雨の歌は、ドイツの作曲家ヨハネス・ブラームスが作曲したヴァイオリンとピアノのためのソナタです。中期ロマン派音楽の代表的な作品で、 雨の歌という愛称は、ブラームスが作曲した同名の歌曲のメロディーを第3楽章に引用したことから、そう呼ばれるようになったようです。

    歌曲「雨の歌」

    同名の歌曲『雨の歌』Op.59-3の歌詞は、当時ブラームスと親交のあった、詩人クラウス・グロートによるもので、雨の降る日の、懐かしい子供のころの感覚を綴ったような、瑞々しい表現でできています。ブラームスは、この詩をとても気に入って歌曲にしたようです。

    「雨の歌」の背景にある物語

    歌曲「雨の歌」Op.59-3 詩:クラウス・グロート 日本語訳:志田麓 ※引用させていただきました。

    雨よ、滴をしたたらせて、

    ぼくのあの夢をまた呼び戻せ。

    雨水が砂地に泡立った時、

    幼い日にみたあの夢を!

     

    けだるい夏の蒸し暑さがものうげに、

    爽やかな涼しさと競い、

    つやつやした木の葉は露に濡れ、

    田畠の緑が色濃くなった時。

     

    何と楽しいことだったことか、

    川の中に素足で立ったり、

    草に軽く手を触れたり、

    両手で泡をすくったりしたことは!

     

    あるいはほてった頬に

    冷たい雨の滴をあてたり、

    新たに立昇る香気を吸って、

    幼い胸をふくらませたりしたことは!

     

    露に濡れたうてなのように、

    また恵みの露にひたり、

    香気に酔いしれた花のように、

    幼心も息づいて開いていた。

     

    ときめく胸の奥深くまで

    どの雨の滴もぞくぞくするほど冷やして、

    創造の神々しい営みは

    秘められた生命の中まで浸透した。

     

    雨よ、滴をしたたらせて、

    ぼくの昔の歌を呼び覚ませ、

    雨足が戸外で音を立てた時、

    部屋の中でぼくらがうたった歌を!

     

    あの雨の音に快い、しっとりとした

    雨垂れの音に再び耳をすまし、

    あどけない幼な心のおののきで

    ぼくの魂を静かに潤したいものだが。

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